民法:損害賠償請求(債務不履行)
(最一小判昭和55年12月18日民集34巻7号888頁)
「債務不履行に基づく損害賠償債務は期限の定めのない債務であり、
民法412条3項によりその債務者は
債権者からの履行の請求を受けた時にはじめて遅滞に陥るものというべき」
「事業用店舗の賃借人が、
賃貸人の債務不履行により当該店舗で営業することができなくなった場合には、
これにより賃借人に生じた営業利益喪失の損害は、
債務不履行により通常生ずべき損害として
民法416条1項により賃貸人にその賠償を求めることができる」
賃借人が、「損害を回避又は減少させる措置を何ら執ることなく、
……営業利益相当の損害が発生するにまかせて、
その損害のすべてについての賠償を上告人らに請求することは、
条理上認められないというべきであり、
……被上告人が上記措置を執ることができたと解される時期以降における
……営業利益相当の損害のすべてについて
その賠償を上告人らに請求することはできないというべきである。」
損害賠償額の予定
当事者が債務不履行について損害賠償の額を予定している場合、
裁判所がその予定額の増減をすることはできない(民法420条1項後段)。
ただし、予定された賠償額が不当に高額又は低額である場合、
公序良俗違反として無効となる場合がある
(大判昭和19年3月14日民集23巻147頁)。
また、過失相殺について、
判例(最一小判平成6年4月21日集民172号379頁)は
「当事者が民法四二〇条一項により損害賠償額を予定した場合においても、
債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、
裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、
これを斟酌すべきものと解するのが相当である」としている
損害賠償の方法は、金銭によるのが原則であるが、
当事者が別段の意思表示をしたときは、
金銭以外の物によることもできる (民法417条)